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植物の成長を促す(右巻きの光を発する)プラスチックを開発
~理工学部・森崎泰弘教授らの研究グループ

[ 編集者:広報室  2019年10月17日 更新 ]

-新規円偏光発光性モノマーの開発と応用-


 関西学院大学理工学部環境・応用化学科の森崎泰弘教授らの研究グループは、植物成長を促進するプラスチック(右巻きの光を発するプラスチック)を開発し、高分子学会で発表しました。合成したポリマー(プラスチック)は、植物にとって有害な紫外光を吸収し、右巻きの青色光を高輝度で発するプラスチックになります(概念図参照)。電源の必要なく、ケースやシートにして植物を覆うだけで成長効果が期待できるようになります。この研究成果は、高分子学会でパブリシティ賞を受賞しました。
開発したプラスチックの概念図

開発したプラスチックの概念図

<研究成果のポイント>
●植物成長を促進するプラスチック(右巻きの光を発するプラスチック)を開発
●右巻きの光を発するモノマーを種々開発 → 様々なプラスチックへと展開

<研究成果の概要>
 植物は青または橙赤色の光をよく吸収して成長しています(よって葉は緑色を示します)。光は右巻きと左巻きの光があり、通常は両強度が等しく直線偏光になります。中でも、植物はその右巻きの光を好んで成長することが分かっています。我々の合成したポリマー(プラスチック)は、植物にとって有害な紫外光を吸収し、右巻きの青色光を高輝度で発するプラスチックです(概念図参照)。電源不要でケースやシートにして植物を覆うだけで成長効果が期待できます。

<研究成果解説文>
植物の成長を促すプラスチック:新規円偏光発光性モノマーの開発と応用
Polymer Preprints, Japan 2019, 68
著者名:森崎泰弘、森田柊平、三木仲七海

 植物は青または橙赤色の光をよく吸収して成長しています。中でも、それらの右円偏光をよく吸収します。我々の合成したモノマーとポリマーは、植物にとっても有害な紫外光を吸収し、青色の右円偏光を高輝度で発する材料です。
合成したモノマーの一つはスチレン誘導体であり、様々なビニルモノマーとの共重合で多種多様なプラスチックの開発が実現できます。また、二官能性モノマーの合成(例えばビスフェノール型モノマー)も容易で、ポリカーボネート・ポリウレタン・ポリエステル・ポリアミドなど様々なエンジニアリングプラスチック開発へと展開できます。いずれにおいても、鍵モノマーの導入量は1〜0.1 mol%程度の極めて少量でよくコストを抑えることができます。得られるプラスチックは太陽光(の紫外光)により励起されて発光するため、LED と異なり電源を必要としません。シートやプラスチックケース等で植物を覆うのみならず、植物のそばの壁や木材など光の当たるところにコーティングするだけでも成長効果が期待できます。なお、電気により発光させることも可能です。

 今回開発した材料は熱・光・酸・塩基・空気・水に対して安定で、官能基の導入による発光色の制御も容易(橙赤色発光も実現容易)であるなど実用性が高いことも特徴です。
一方、左巻きの円偏光は植物の成長を抑制します。ミラーイメージのモノマーを用いれば、雑草などの植物成長を抑制するプラスチックも開発できます。